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ダークマン

私は高校生の頃、ちょっとした映画離れをおこしていました。ホラー映画も見飽きたし、アクション映画もつまらない。かといって外国のコメディ映画や恋愛ドラマなんか絶対見る気が起きない...そんな時にこの大傑作に出会ってしまったのだからさあ大変。

「こんな手に汗握るヒーロー活劇を見たのは久しぶりじゃぁあっ!」と狂喜乱舞しました。恐怖にアクション、笑い、そして悲恋など、この作品には映画の全てが詰まっている!「こんな素敵な映画を作ってくれて有り難う」と、サム・ライミ監督に心からの感謝を送ってしまった位です。

この映画、ストーリーは至って簡単です。マフィアに襲われた天才科学者が、大火傷を負いながらも奇跡的に生き残り、手術によって手にした怪力と、人工皮膚による完璧な変装で悪党どもに復讐する、というもので、アメコミ的な設定や、滑稽なくらい派手な演出と、ご都合的な展開が非常に目に付きますが、人間ドラマや主人公の苦悩などをとても丁寧に描いており、ただのバカ映画に終わっていません。

そして何より、主役を演じるリーアム・ニーソンの迫真の演技が見るものを惹きつけます。火傷の手術の際、痛覚を無くしてしまったペイトンは、怒りや孤独といったネガティブな感情を抑える事が出来なくなり、些細なことでブチ切れるようになります。射的の景品(ゾウのぬいぐるみ)をよこさない遊園地の職員にキレて、指を四本もへし折ったり、(ここのシーンの演出は必見です!)人工皮膚の研究が上手くいかず暴れだし、サーカス団の一人芝居を始めたりと、普通の役者だったら「何やってんだろ俺..」と我に返っちゃうようなバカバカしいシーンを、彼はクソ真面目に演じてくれます。特にあの「ウオ〜〜〜」という、ちょっと間抜けな怒声が超・最高なのです。一度聞いたら絶対に忘れられません(笑)彼の真剣な演技と、ライミ監督得意のハチャメチャな演出のミスマッチこそが、この映画の最大の魅力といえるでしょう。(ちなみに続編ではペイトン役が別の人に変わってしまい、つまんなくなってしまいました)

そして最大の見せ場はラストシーン。「と呼んでくれ」と呟き、恋人のもとを去っていくペイトンの、あの痺れるようなかっこよさ!ヒーローの孤独や悲しみをきちんと描いている所が素晴らしいです。そう、この映画はアメコミヒーローの悲哀をきちんと描いた「カッコイイ」映画なのです。懊悩するヒーロー、「ダークマン」は、日本の特撮に例えれば「レインボーマン」のヤマトタケシのようなものなのです。

「これぞまさに真のアメリカンヒーロー、バットマンですら足元に及ばないッ!」と暴走した私は、このかっこよさとオモシロさを一人でも多くの人達に伝えるべく、手始めに姉にこの作品を見せてみました。
が、

「話がご都合すぎてつまんない」と一蹴されました。(号泣)

この映画にリアリティを求めてはいけません!ヘンだと思いつつも主人公のカッコよさを堪能する、それが「ダークマン」の正しい楽しみ方なのです!!

って、まるでプロレスみたいですね...(笑)


グリーンディスティニー
この映画、公開前からあまり興味がなく、正直期待していませんでした。しかし、友人が猛烈に「面白い!」とすすめてくれたので、「そこまで言うなら..」と思ってビデオで見たんです。そしたらもー面白いのなんの!「劇場で見りゃよかったぁ〜」と暫く後悔しました。

とにかくアクションが凄かったです。ワイヤーとCGで表現出きる要素を、惜しみなくつぎ込んでるって感じで、壁を走りながら格闘したり、武器を取り替えながら女二人が戦ったり、たわむ竹の上に飛び乗りながら剣を交えたりと、まるで漫画みたいなぶっとび演出にクラクラきました。(なんせ何の説明もなく空をとびますし。武侠映画ではお約束らしいんですけど..)

それに加え、非常にゆったりとしたストーリー展開もまた新鮮でした。(香港のアクション映画は大抵バタバタしてますから、尚更そう感じたのかもしれませんけどね)ちょっと前半の三十分が退屈なのが難ですが、そこを過ぎれば万事オッケー。武侠の世界に引きずりこまれてしまいます。

そしてこの映画のもう一つの目玉は、やっぱりヒロイン・イェン役の、チャン・ツィイーでしょう。彼女のまぁ、なんと強くて可愛い事!あれだけアクションが出来る美少女というのもなかなか居りますまい。特に酒場での大立ち回りは映画史上に残る名シーン!!ラストのキメのポーズが決まりすぎ!女性版ジェット・リーって感じで、見ていて惚れ惚れしました。

そして、シューリン役のミシェール・ヨーもかっこよかった。特に、碧銘剣にバンバン武器を壊されながら戦うシーンは最高!結構年いってるのによくあそこまで動けるもんだと感心しました。そういえば先日、「007 トゥモローネバーダイ」に出演している彼女を見ましたが、これも非常に良かったです。ボンドと手錠をしたままバイクで中華街を疾走し、追跡してくるヘリと戦うシーンは完璧に香港映画のノリでした。007シリーズの中でも、かなり異色のボンド・ガールだったと思います。(ボンドの方が弱そうに見えた位だし)

あと、ムーバイ役のチョウ・ユンファもはまってましたね〜。ベレッタを二丁拳銃で撃ちまくる映画ばかりに出てたから、カンフーは余り得意じゃないんだろうと思っていたら、なかなかどうして。サマになってる所か、メチャクチャ渋くてイカしてました。悩み多き剣匠をイイ雰囲気で演じてたと思います。でも、個人的には彼が追ってた仇敵が、中年のおばはんだったというのがちょっとガックリきました。その彼女に毒針であっけなく殺されるしね..

しかし、ラストシーンは意見が分かれそうだと思いました。観る人によっては、自分のせいで恩師が二人も死んでしまった事に、自責の念を感じて自殺したとも思うだろうし、伝説を信じてムーバイを蘇らせる為に飛んだとも考えられます。もしくは、自分だけ幸せになるのは義姉に悪いから男と別れ旅立ったともとれる。うーーん、かなり尾を引きますね〜、このラスト。作品がシリーズ化されれば解ける謎でしょうけどね。いや〜今から続編が待ち遠しいです。

「アンブレイカブル」

M・ナイト・シャマラン監督の「シックス・センス」がイマイチだった為、二作目には全く期待していなかったんです。そのせいもあってか、この作品の意外なオモシロさにハマってしまいました。

前作「シックス・センス」は、感動をウリにしてた為、恐怖映画を見たかった人(例えば私)にとっては恐ろしく肩透かしな内容でした。「アンブレイカブル」では、意図的に逆の路線で行こうと思ったのでしょう。非常にダークな世界観を全面に押し出し、リアルで新しい「アメコミヒーロー」像を作り出そうとしている所に、とても好感を覚えました。そして、ド派手で目がチカチカするような最近の映画に比べ、特撮が殆ど入らず、カット数が異様に少ない撮影方法が、逆に新鮮な感じがして良かったです。その反面、演出が地味すぎて、人によっては退屈してしまうのが欠点ですが、私は設定のオモシロさに惹かれ、思わず見入ってしまいました。

とにかく、話がとっても暗〜い所が素敵です。「シックス・センス」で感動出来なかった人なら、絶対楽しめる内容の筈です。ただ、ラストのどんでん返しがホントにとんでもないので、賛否両論あるでしょう。しかし私は大満足です!ここまでとんでもないと、もはや呆れるのを通り越して感心するばかり。サミュエル・ジャクソンの扮する「ガラス男」が主人公の続編を、是非とも作って欲しいと思いました。

ちなみに、この作品が非常に良かったので、シャマラン監督の最新作「サイン」も期待バリバリで見に行ったんですが...そしたらもう...

・・・号泣しました

ほっほっほ・・・あんさん、お客をなめてはりますな?
このアホボケカス!と声を限りに叫びそうになりました。シャマラン監督の作品って、出来不出来がすんごい極端...とりあえず「アンブレイカブル2」に期待したいと思います。

「マッキラー」

「サンゲリア」「地獄の門」など、ゴア&スプラッターな映画で悪名高いルチオ・フルチ監督の、三十年前の作品です。この人の映画は、残虐シーンが何の必然性も無く発生する所が、どうにもカタルシスに欠ける為、個人的に余り好きではないんですが、この作品だけは違います。後年のフルチ作品とは比べ物にならない位、設定がリアルで、演出も洗練されている為、正直ビックリしました。

ストーリーも最高です。緻密に張り巡らされた複線が、見事なミステリーを作り上げ、最後まで飽きさせることなく観客の注意を惹きつけてくれます。ラストの意外な犯人像にも驚きますが、一番驚くのはその映像美。凄惨なゴアシーンが炸裂しているにもかかわらず、芸術的ともいえる美麗な演出に心を奪われました。「これがホントにあのフルチ監督の映画か?」と訝ってしまうほどの素晴らしさです。

何故こんな上質のサスペンスを撮れる人が、後年ゴア映画ばかり撮るようになってしまったのでしょうか。常々疑問に思っていたのですが、ホラー雑誌「ファンゴリア」の記事によれば、「マッキラーは私の最高傑作だったが、誰もあの芸術を理解しなかった」と晩年のフルチ監督がぼやいていたそうです。この映画の、子供を標的にした連続殺人の描写や、キリスト教圏で作られた映画の中ではダントツにヤバい犯人像・・・といった規制スレスレのチャレンジフルな物語展開が、当時の評論家と観客の不評をダブルで買ってしまったのでしょう。才能がある表現者ほど反体制的で反骨主義者だとよく聞きますが・・・若い頃の彼は才気が走りすぎていて、絶対に犯してはいけないタブーを犯してしまったのでは無いでしょうか。

「マッキラー」が認められていれば、彼はイタリア映画界を代表する巨匠の一人に・・・それこそダリオ・アルジェント以上の鬼才として世界に名だたる監督になっていたかもしれません。この時の挫折感が、後のスプラッター映画監督・フルチを作らせた一因なのかも、と思うとちょっと泣けてきます。「サンゲリア」の、過剰なまでのグロ描写で客をビックリさせてやろうという、開き直ったサービス精神もキライではないのですが、やはり個人的には「マッキラー」のような傑作を,もっと撮って欲しかったです..

あと、蛇足ですが、冒頭のお色気シーンも出色の出来映えです。私は三回ほど見直しました(笑)ドえらく興奮しますよ〜、このシーン。


「ブレインデッド」
「ロード・オブ・ザ・リング」のヒットで一躍有名になった、ピーター・ジャクソン監督の超絶スプラッター映画です。オープニング、白人の学者が、伝説の珍獣「ラットモンキー」に手を噛まれ、その呪いを恐れる現地人にその腕をブッた切られ、首をはねられるウルトラショックシーンから物語は始まります。

ヒェ〜〜ッ!と怖気を振るいました。このシーンの怖さとおぞましさは相当なモノです。今後もこのようなゴアな展開が?と思い、身構えながら見ていましたが、この映画で唯一ホラーっぽいとこはそこだけで、後はひたすらブラック・ジョークと不条理ギャグのつるべ打ちで、はからずも大爆笑してしまいました。

オープニングでビクッと観客を恐怖させ、本編でゲラゲラ笑わせる!恐怖と笑いは紙一重だという、ホラー映画の大前提を十分理解した上での、確信犯的な作りをしているな〜と感心しました。(日本の漫画に例えるならば、ホラー漫画の表現をギャグ漫画に転用して笑いをとった、梅図かずおの「まことちゃん」みたいなものでしょうか?)

とにかく、個々のエピソードが面白すぎます。ラットモンキーに噛まれ、ゾンビ化してしまった主人公の母親が織り成す奇行の数々をフォローする為、その息子・ライオネルが悪戦苦闘する様はまさに喜劇。客人の前で腐れ落ちた自分の耳をスープと一緒に食べちゃったり、ダックスフンドを一気呑みしてしまうなど、黒い笑いが炸裂します。

そしてこの映画一番の見せ場が、母親に殺されゾンビ化した不良達が墓から蘇り、主人公にに襲いかかるシーンです。屍どもに囲まれ絶体絶命のライオネル、もはやここまで?と、思ったその時、突如ガウンを翻し、初老の神父が彼らの前に立ちはだかりました!

おおっ、無駄にカッコいい!!聖水と十字架で悪霊どもを一網打尽にするつもりか?と思ったら大間違い、「私の蹴りを受けてみよ!」と空手キックを叩きこみ、裏拳をブチこんでゾンビどもを血祭りに上げ始めたのです!!

これにはもう呆気にとられて大爆笑!まるでギャグ漫画のような意外な展開に拍手喝采を送りました。そしてコミカルでスタイリッシュな演出も最高です。超人的なグラップルによってゾンビの両腕をもぎ取り、橋本真也もビックリの水面蹴りで両足をブチ切った直後、強烈なハイキックで残った頭部を夜空に舞わせる、スーパー神父の大活躍に胸が踊りました!(もっともこの直後、落っこちてきた頭部に噛みつかれてゾンビになっちゃうんですが...)

このほかにもゾンビ同士で子供作っちゃったり、その子供の面倒を見るため主人公が公園デビューしたりするなどの不条理な展開が続きます。そしてクライマックスの、ゾンビ大宴会には呆気にとられること間違い無しです!スプラッターで表現できる全てのことをつめ込んだ、監督の恐るべき創作意欲とバイタリティーに圧倒されるでしょう。こちらの想像の遥か上を行くスプラッター描写の数々に、ただただ感嘆するばかり。超残虐映画なのにもかかわらず、見終わった後の清涼感はバツグンという、実にすがすがしい気持ちにさせられる映画でもあるのです。

グロいのはちょっと...という人でも、これは最高に楽しめる娯楽映画だと思います。むしろそのような人にこそオススメの映画です!

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